スーパーが俺を鍋へ導く

討田です。

キムチ鍋にキムチを入れたその瞬間、俺は切なくなった。
キムチ鍋の素はややパンチに欠け、パンチ佐藤の行方が気になった。
俺はおもむろにバットを取り出し、元横浜の駒田のマネをしたが誰も気付いてくれなかった。
イチローのマネなどもってのほかだ。
俺のバットは回転のかかったボールとフレンチキスを交わした後、大きな弧を描いて月へ帰って行くあいつに敬礼した。
Ｖスライダーだった。

なんなんだ、これは。

振り返ると街はもう追いやられた秋を遠くから見つめるだけ。
卒業式の後すぐ入学式へ向かう少年のように、大人達が現実から目をそらしている間にさえも彼らの毛は生えていく。
人に言えないような場所に新たな居場所を見つけたのだろうか・・。
一抹の不安と、期待を込めて、彼はつぶやいた。

「なんかちぢれてるな・・・。これで俺も大人の仲間入りか・・・。」




・・・好きな言葉は「ごめんなさい」です。